おたふくわた復活プロジェクト

28.個性的なものを作りたい和田哲さんにデザインについて相談したこと・・・

突然ですが皆さんはふとん地のデザインについてどう思いますか。先日アンケートを行ったところ意外にも「花柄」が根強い人気でした。
意外にも・・というのは私自身はどうしてもこのふとん柄の花柄が気になって仕方ありませんでした。カバーには最近多くの個性的な柄が出ていますが木綿ふとん地はあいかわらず花柄調が圧倒的に多いからです。
確かに素敵な模様もありますがどのメーカーも似たような花柄ですし、特に木綿ふとんの側地の花柄は若い人にはあまり人気がないと聞きます。私はもしおたふくわたふとんを作るならば花柄は避けようと思っています。ただ無地柄も最近は出ているのでここは少し頭をフル回転してデザインについて色々勉強しようと思いました。 昨年、和田哲株式会社の和田亮介会長様と出会ってから和田哲さんにデザインや側地について色々相談させていただくようになりました。デザインを担当している青木氏には特にデザインの相談などでしょっちゅう電話をしたりメールをしたり時には大阪に行ったりなどして相談をさせていただいています。当初私は景色などの写真っぽい側地はどうか考えていました。しかし青木氏は首を縦にふりませんでした。「きれいに写らないと思いますし、プリント方法が難しいと思います。どうでしょうかね」私は青木氏と机上のデザインサンプルを見ながら長い時間相談していました。青木氏は私がおたふくわたの復活を正式に決めていないにも関わらずなんと丁寧に花柄、紋調、ストライプ、チェックなど色々なデザインを私のためにサンプル集を作ってくれました。皆さんにお見せしたい美しいものも数多くありました。
後日私はあるデザインを思い付きそれを青木氏に送りました。完成はしていませんが5月にはきっとデザインのサンプルは出来上がっていると思います。
「原田さんの考えていることはあまり寝具業界では考えていなかったデザインですからこちらとしても色々トライしてみます。だから原田さんも賭けの覚悟で来てください。こういったデザインはあまりふとんとして出したことがないので消費者がまっぷたつに好みが分けられると思います。」私は俄然やる気が出てきました。
そういえば私の妻も以前「特に女性などはカーテンなどのバランスとかを考えてカバーやふとんを買う」と話していました。ふとん地もカバーの中に入ってしまうとはいえデザインはやはりキーポイントになります。
実は私は学生時代に卒業論文で寝具業界のマーケティングについて書いたのですが、調査の為におふとん屋さんを廻ったことがあるのですが「おたふくわたはねえふとんは凄い気持ちがいいんだけれどもデザインが良くないんだよね」と苦笑されたのを良く覚えています。当時の社史やカタログを見るとカバーや羽毛ふとんの側地は今もおふとん屋さんで置いているようなものもあり、そんなに言われる程と思っていました。むしろ今人気があるペイズリー柄などもありました。「時代を読むのが早過ぎたのかな」などと自己弁護していたのですが、木綿ふとんの側地は確かに当時でも古臭いのではと思う柄が多かったのを覚えています。
私は青木氏に何度も話しました。「おたふくわたは多分一回も花を使わないと思います。すでに他社がきれいな花柄を使っていますし、ふとんを復活させたら、もはやうちも後発になります。だから今から花柄を出すことはないと思います。」
青木氏は「分かりました。原田さんのコンセプトに近いもの出すように努力します。こちらも会社の名前もあるので変なものは出せませんからね(笑)」と青木氏も真剣な目つきで私に話しました。デザインの発表は私がいつかふとんを発売する時があった時に分かると思います。最高の綿で、そして皆さんがよく寝られるような綿の入れ方を工夫し、派手すぎず地味すぎずの柄でいいものを作ろうと思います。おたふくわたを復活させる気持ちが強くそしてその実現が近いと思います。

hutongara
青木氏は色々なデザインを作ってくれました。
写真はサンプルの一部です

九代目 原田浩太郎

※このコラムは2003年3月に執筆されたものです

ページトップへ