わたとふとんの基本のき

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「木綿(もめん)」と「真綿(まわた)」

どちらも目や耳にすることは多くても、その違いは意外と知られていません。寝具関連の記事でも、ごく稀にそれらが同じような意味で使われていることがあるくらいです。今回はそんな「木綿」と「真綿」の違いをご紹介します。

植物由来? 動物由来?

おたふくわたのふとんや座ふとんに使われているのは「木綿」です。木綿は、アオイ科の植物「ワタ」からとれる繊維で、英語ではcotton(コットン)です。黄色いきれいな花が咲いた後に、コットンボール(朔)ができ、それが乾燥して割れると、あの白くて弾力のある綿(木綿)が出てきます。日本には約600年前の室町時代に朝鮮半島から種子が伝わったとされ、江戸時代には綿布が全国的に流通していたといいます。

一方の「真綿」は、蚕(かいこ)の繭(まゆ)からつくる繊維です。繭を煮たものを引き伸ばし、乾燥させてつくります。木綿は植物繊維ですが、真綿は羽毛や羊毛と同じ動物繊維なのです。ちなみに、繭から紡いだ糸でつくる織物が、いわゆる「絹(織物)」です。繭からとれる繊維そのもののことを絹ということもあります。絹の歴史は木綿よりも古いといわれ、古代から衣類や献上品などとして珍重されてきました。真綿も白くて光沢があり、やわらかく保温性にすぐれているため、古くからふとんや防寒着の中綿として利用され、良質なものは紬の原料としても利用されました。

綿といえばもともとは……

日本では、木綿が伝来するまでは「綿」というと、真綿を指していました。しかし、木綿が登場してからはワタからとれるものを「綿」もしくは「木綿」と呼ぶようになり、もともとの綿という意味で繭からつくるものを「真綿」と呼ぶようになったといわれています。

同じ「綿」でも、木綿と真綿はまったくの別物なのです。
次回からは、わたのふとんについてお伝えしていきます!

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