●ダニとアレルギー
―そもそもアレルギーとは何でしょうか

「アレルギーとは、分かりやすくいうと人間の体内にアレルギーの原因(アレルゲン)が入り、体内で『あれ?こんな形の物質、うちはいらないよ!』と過剰な反応をすることをいいます。そのアレルゲンですがグラフを見ていただくと分かりますが喘息患者さんのアレルゲン陽性率を見ると原因は、やはりダントツがダニと室内塵(ハウスダスト)です。ダニそのものよりも死骸や糞がアレルゲンになりやすいのです。死骸は腐ると粉々になりますが、その粉々が体内に入ると喘息になってしまうのです。最近は「癒し」が流行り更にペットを飼う人たちも多いのですがペットで確かに癒されるかもしれませんが、アレルギーになりやすいことを考えると動物と生活するのは気をつけたほうがいいと思います。」
―ダニというのはどのくらいの種類がいるのですか
「家にいてアレルギーになりやすいダニは主に2種類です。コナヒョウダニとヤケヒョウダニです。」
―名前だけで痒くなりますね(笑)
「ダニの拡大図をお見せすると皆さん嫌がりますが(笑)
私はもう何年もこれを研究しているので今ではかわいく思えてしまいますよ(苦笑)このダニは人間のフケや垢が好物です。また、ツメダニというのもいますがこれは肉食性なんです。で主食はこの2種類のダニです。ツメダニはそんなにいないんですが、たまにダニに刺されたという時は、このツメダニが咬んでいるんですね。しかしこのダニはアレルギー性があまりないので、咬むこと以外健康には影響ありません。しかしコナヒョウとヤケヒョウは咬まないのですが死骸がアレルギーになりやすい。なんとも複雑なダニ構図ですよね。」
●ダニの楽園 蒲団
―先生はダニがゼロになればアレルギー患者の8割が治ると話されていました。
しかし絶
対ゼロにはなりませんよね。どうしたらいいんでしょうか。
「温度20℃から30℃くらいで湿度60%~80%これはダニにとって理想的な環境です・・・でなんとそれは人間がいいと思う環境と同じなんです。だからゼロになるということはありえない。そしてダニの好物は人のフケ、垢です。その好物を一番手に入れやすいのが蒲団とカーペットなどです。ですからキチンと掃除をすることが重要なんです。」
―やはり蒲団ですか(笑)でももともと蒲団にダニがいるわけではないですよね。
「うーん少ないことは確かですね。でもペットを飼っていれば抱いたりそこで寝てしまえばダニの移住がはじまります。また人間の衣類やフケ、体についていれば移住をはじめます。それにダニは隙間とか表面が凸凹している場所、湿気がある場所に住みたがります。押入れの中に入れていたものを使用する時にも当然いますよね。畳、蒲団、じゅうたんはダニにとって最高の場所なんです。」
―ということはフローリングの上に蒲団を敷いている人はダニが少ないということでしょうか。
「そうです。フローリングは繊維のように絡みもなく継ぎ目が深くないので住みにくいです。でも住みにくいだけでゼロではないですよ。人間や動物が運んでくれば同じことです(笑)」
―やはりマメに掃除する事ですね。うーん、それしかないですか。
「そうですね。蒲団を叩く人がいますがあれはいけません。叩いたぐらいでは小さいダニは除けませんし死骸や糞が表面に出てくるだけで逆効果です。」
―ということは蒲団を干すというのは湿気を取るには効果的でもダニには関係ない?
「そうです。日干し=ダニが死ぬではありません。ダニは55℃以上で死滅するので日干し程度では死にません。あくまで湿気を取り、ダニを住みにくくするだけです。干した後、掃除機で片面1分程度吸うのが効果的です。」
●木綿とダニ
―木綿蒲団の側生地というのは他の繊維に比べて太い番手を使用しています。そのため縦糸横糸の間隔が割合大きいので空気や光が入りやすい。これは綿にとってはいいんです。で考えたのは糸の間が大きいということは掃除機で吸いやすいのではないかと・・・・。
「なるほど、そういう考え方もありますね。」―確かに番手が太く糸の間隔が大きいと、ほこりも入りやすい、ダニも入りやすいと思います。でも、その反面、掃除をすれば中綿のダニもほこりも吸い取るので却って清潔ではないのかなと思いました。
「そうだと思います。入りにくい加工をしているものは入ったら出にくくなるわけですよね。そういう実験を原田さんのほうで一度やられてはいかがでしょうか。環境を揃えるのが大変かもしれませんが(笑)でも理屈で言うとそう思います。」
―木綿は昔から体に良いといいますよね。やはりアレルギーにも効果的なのでしょうか。
「そうですね。木綿はアレルギーになりにくい物質ですね。木綿は植物繊維ですよね、植物繊維ではアレルギーになりにくいです。木綿というのは90%近くがセルロースという物質で出来ています。タンパク質もありますが1%程度です。このセルロースというのは人間の体の中に入り込んでもアレルゲンとして働くことはありません。しかし、外部からタンパク質が入ると自分の体の成分と違うことを感じてアレルギー反応を起こします。タンパク質はそれぞれに一の形を持っていますので、自分の体の成分と違うことが簡単に分かりアレルギーを引き起こすということです。ただ牛肉や鶏肉などを食べるという場合は、腸の中で分解されるのでアレルギーにはなりにくいですけどね。」
―そういうことからアレルギーの患者さんには木綿蒲団がいいというわけですね。
「そうですね。アレルギーになりにくい繊維であり、肌にも優しいと思います。キチンとこまめに掃除をすれば清潔な繊維だと思います。」
―本日はありがとうございました。
=奥村康氏のプロフィール=
●農学博士
●アサヒビールのグループ会社である「アサヒフードアンドヘルスケア株式会社」の取締役開発部長として勤務される傍ら「ダニアレルゲン」に関する講演会で講師を務めるなど活躍中。
●このインタビューは本年6月、浅草にあるアサヒビールの本社内で行われました。
■次の記事へ